躰道(たいどう)の基本的な心得である『躰道五条訓』の意味と読み方をまとめました。
前提
前提として、躰道では技と人の等価性を求めており、技術のある人(強い人)は人間性においても優れた人である事が望まれる。
それを実現するための心得として『躰道五条訓』がある。
武道技術の向上のためだけでなく、人間としての社会活動つまり日常生活にも通用する心得であることがポイント。
躰道五条訓
心(こころ)
一、心明鏡にして
所行の実相を写し
心位正しきを得れば
惑うことなし
【読み】
ひとつ、こころめいきょうにして
しょぎょうのじっそうをうつし
しんいただしきをえれば
まどうことなし
【意味】
常に心の状態をくもりの無い鏡のように保つことが大切である。そうすれば、相手の動きや社会で起こる出来事の本質を見極められる。
このような正しい心の状態は武道における攻防や日常生活でさえも何が起きても動転するようなことにはならない。
態(たい)
一、態端正にして
心行の一体を図り
態位正しきを得れば
侮られることなし
【読み】
ひとつ、たいたんせいにして
しんぎょうのいったいをはかり
たいいさだしきをえれば
あなどられることなし
【意味】
常に格好(身なり)をただし、礼儀作法などの立ち振る舞いを整えることが大切である。そうすれば、内側(心)と外側(行動)が一体となる。
このような正しい姿を保っていることで、相手にみくびられるようなことはない。
気(き)
一、気充溢にして
精気を丹田に発し
気位正しきを得れば
恐れ戦くことなし
【読み】
ひとつ、きじゅういつにして
せいきをたんでんにはっし
きいただしきをえれば
おそれおののくことなし
【意味】
常に気(やる気)をあふれさせることで、丹田(おなか)に気を集め、気力を使うことができる。
このような正しい気の使い方をすれば、武道における相手の動きや社会での様々な出来事にもひるんだり恐れてしまうことはない。
行(ぎょう)
一、行実践するに
倫理の常道を守り
行位正しきを得れば
誤り行うことなし
【読み】
ひとつ、ぎょうじっせんするに
りんりのじょうどうをまもり
ぎょういただしきをえれば
あやまりおこなうことなし
【意味】
常に行動をする時は人倫の道(道徳)を守るべきである。
このような正しい行動をしていれば、決して間違った行動をすることがない。
技(ぎ)
一、技応変にして
身体を自在に移し
技位正しきを得れば
制されることなし
【読み】
ひとつ、ぎおうへんにして
しんたいをじざいにうつし
ぎいただしきをえれば
せいされることなし
【意味】
常に相手(課題)に対応して技(方法)を変化させ、運足運身(思考)を使って自在に動くことが大切である。
このような正しい実技をすることができれば、相手の攻撃を受け、制させることはない。